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外壁の焼杉のメリット。焼杉メーカーや長持ちさせる施工をまとめました

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輝建設の小原です。

当社は古民家再生もよくしているので、最近、新築工事でも人気の焼杉の外壁も20年ぐらい使っています。いろいろと使ってみてきたので、いろいろとまとめておこうと思います。

焼杉のメンテナンス費を軽減させるには・・・

焼杉は、炭化部分がいわゆる塗料の代わりをしてくれて焼けていない部分の板を守ります。で、その板が焼杉より内側にある家本体を守ってくれます。板壁やガルバリウム鋼板、モルタル外壁、漆喰、サイディングなどいろいろありますが、うまく使えば、メンテナンス費用がいちばんかからないものかもしれません。

なぜなら、炭化部分があるかぎり塗装が不要だからです。そのため、炭化部分がなくならないようなことを考えないといけません。炭化部分は雨風、紫外線などによって少しずつ劣化して減っていきます。ということは炭化部分が厚ければ厚いほど焼杉が長持ちします。

次に焼杉を風雨に必要以上にさらさない!=軒深くするのはとても重要なポイントです!

昔からよく使われていた建材なので、古民家にしか使われないイメージがつよいですが、最近は新築でも人気のある建材になってきました。

 

新築の家でも焼杉の板張りの外壁できます

先述のこと踏まえて、新築でも焼杉板を施工しました。こちらは2018年春にお引き渡しした東大阪の新築物件(石切の家3)です。焼杉を張っています。外壁は焼杉板張りです。

 

およそ一年経った2019年春の写真です。雨上がりの後の写真ですが。板塀は無塗装の杉板。自転車と薪棚を新しく作らせていただいたときに撮った写真です。こちらの無塗装。銀鼠色になる予定です。

 

こちらも2017年冬に引き渡しの焼杉板の家です。軒を深いです!

 

焼杉1 中本造林さんのN塗装ブラック

広島県の中本造林さんのものは比較的に手に入りやすいです。大阪のホームセンターでもときどき売っているのを見かけます。大阪の材木問屋さんも仕入れられているところが多いようで、製材所さんに焼杉を注文するとだいたいこちらからはいってきます。

皆さんがイメージされているであろう焼杉といえば、杉板を焼いたもの。中本造林さんのものですと「焼杉 素焼無塗装」というものが焼きっぱなしです。袋から出すと焼杉の炭の粉が手にめちゃめちゃつきます。なので「焼杉ブラシ仕上無塗装」という商品があって、こちらは素焼をブラシで払ったものですが、手はやっぱり黒く汚れます。

ということで、一番よく使っているのは中本造林さんの焼杉塗装Nブラックです。厚10mmで幅165mm(働き=貼ったときにみえる部分)。これは焼いた杉のうえからクリア塗装をして炭化層を保護しています。ということは、炭の粉が手につくのが随分軽減されます。

が、実は手に汚れがつくのが嫌なのでこの塗装Nブラックを選んでいるわけではなく、無塗装のものを外壁などにつかうと、かなり軒深くないと焼けて炭になっている部分が風雨に流されてしまって、浮づくりのようになってしまうのでこちらを選んでいます。

外壁よりも内部をまもらなければいけない外壁材として、耐候性アップのために何かしら塗装したほうがよいです。板塀などだとそのままの浮づくり状態になってもいいのかなとかと思います。が、長持ちさせるにはやっぱり大和塀といわれるような形にして屋根の下に入れたほうがいいと思います。

ちなみに焼杉板の裏側は焼いていないので板塀するときは見え方に気をつけて下さい。

 

8年前に外部補修したした元農具小屋です(石切ヴィレッジの道具置き場です)。補修部分の焼杉をは中本造林さんの焼杉を貼りました。ビニールに包まれいてる箱階段の後ろなどがそうです。

8年経った焼杉塗装Nブラック。まだなんとなく焼いた感じがのこっています。ケラバ側で庇の出が少ないので雨風、紫外線に結構やられている感じです。

 

幅100mmを超える幅広い板の場合、焼杉に限らずでしょうが板が反ろうとしたときに、2本釘止めだと板が浮いたりすることがあります。スピンネイルでもまけることがあります。ビス留めや、よく見る階折れ釘の3つ打っているのは反り防止だと思います。

 

北摂でみつけた焼杉仕上げの壁。たぶん焼杉施工から50年以上は経っていると思います。屋根の軒が浅いので雨水にさらされていますが、たぶん、施工後はノーメンテで来ていると思います。

板厚は3分、およそ9mmでした。丸釘なんで割とここ最近の仕事でないかと思います。一列につき4発釘を打っています。うっすら焦げが部分的に残っています。

 

うちの事務所の道具小屋の話にもどりますが、中本造林さんの焼杉ですが、塗装と無塗装のもの炭化部分とれてただの浮づくり板になってしまっています。東に面しているので午前中は朝日がガンガンにあたるので劣化も早いのかもしれません。

中本造林さんの焼杉塗装Nブラックの断面。板厚9mmで、炭化層が1mm足らずぐらいでした。外壁に使用するのであれば、クリア塗装して炭化部分の保護はマストだと思います。相ジャクリ加工済み商品なので、どんどんはっていけそうです。またホームセンターに置かれているぐらいなので流通量も多いので、わりとすぐに手に入るのも中本さんの商品が取り扱いやすいと思います。

こちらは元々貼られていた腰壁です。焼いていたようですが、ほとんど炭化部分が取れてしまっていてよくわかりません。釘は一列4発留めでした。

 

 

 

焼杉2 共栄木材さんのクロ塗装

建築家伊礼智さんが、こちらの焼杉を、栃木の牧田工務店さんのi-works4.0、徳島県の工務店はなおかさんのi-works1.2で使われています。当社では奈良市の新築工事で使わせていただきました。共栄木材さんの焼杉も何種類かありますが、こちらも焼いた杉にクリア塗装をしたもので「クロ塗装」を使っています。そのほかにも焼けた炭を落としたものを黒く塗装した「モダンブラック」という商品もあります。

こちらは仕上がったかんじが中本造林さんの焼杉塗装Nブラックに似ています。

これがクロ塗装。焼いたときに杉の表面が焦げ付いてシワが寄ります。これがいい感じのテクスチャ。焼杉的な表情です。

 

新築現場で張っています。家全面に張るとなると、大工さんは足場を登ったり降りたりしながらなので、思っているよりも手間がかかります。

板厚は14mmぐらいで炭化部分は1mm程度でした。こちらもやっぱりなにか塗装した炭化部分を保護してやったほうがいいかと思います。こちらも相ジャクリ加工しているので貼っていきやすそうです。商品は共栄木材さんは事前に発注が必要とのことでした。

 

焼杉3 FUN Materiaさんの天竜焼杉

こちらの焼杉板「天竜焼杉」の特徴は、なんといっても厚い! 板も厚いのですが、焼けて炭担っている部分が厚いです!  9mmから12mm厚みぐらいの板を焼いて加工されている焼杉が多い中、昔ながらの伝統の三角焼きという方法で 18mmある板を三角に組んでおがグズをいれて火をつけて焼かれています。元の板が厚いので炭化層が厚くする加工でき、炭化部分が長持ちします。軒が深くて不必要に雨風にさらさなければ、何十年ももつ外壁材だと思います。

 

測ってみると2mmから3mmも炭の部分があります。今回測ったものの中では一番、炭の部分が分厚いです。

焼杉と焼杉の間を隠す目板も焼かれています(共栄木材さんも焼かれています)。

目板もよく焼かれています。これだけ焼かれていれば、軒深い家の外壁で、しっかりと板を釘やらビスで押さえ込んでおけばメンテナンス期間は相当長い間不要だと思います。昔ながらの本物施工の焼杉をつかってみたいという方にはオススメの焼杉です。

個人的には一番つかってみたい焼杉です!

YOUTUBEで「焼杉板」のいろんな作り方がみられます。
↓↓↓↓

https://www.youtube.com/results?search_query=焼杉板+作り方

焼杉は機械だと焼ける幅に限界あり。将来、一枚からでも入れ替え可能

こちらは大阪府下の江戸時代のとして指定されている住宅です。2014年に外観の補修をするときに市役所の文化財課の方が来られて、以前と全く同じように直してくださいと要望されました。写真正面の玄関が建具、その左の柱や幅24cmある6枚ほど腰に貼られた焼杉板を張り替えました。写真左端の3枚の焼杉板は以前のもので炭化部分が洗い流されて色が薄くなっています。

いつもいろいろと相談にのってもらっている材木屋さんに、いつも使っている焼杉で特別につくってもらえないかなーと聞いたのですが、工場で機械をつかって焼いているので、幅24cmものは焼けないといわれて焦りました。が、材木屋さんが三角焼をしてくれる大工さんいないか探してくれて、はれて昔のままに復旧することができました。大工さん、曰く何十年ぶりだったとのこと(この時はまだファンマテリアルさんの焼杉を知りませんでした)。

ちなみに工場で機械でやくというのは、ガス台のようなものの上に並べて焼いたり、化学薬品で加工して実際には焼いていないものもあるそうです。

よく焼けて真っ黒です。柱などは、松煤などを主剤とした昔ながらのベンガラとそうさせていただきました。

古民家の焼杉の板壁の下地はだいたいこのようになっています。江戸自体の建物ですが、技術と経験が必要ですが、特別な機械などなくても昔のものと同じものが加工されて現場にでてきたときには感動しました。今回のように、200年ぐらい経った家でも8枚だけ同じ建材を揃えることができました。これが、サイディングとかだときっと10年もしたら同じもの、ないですよね。

 

まとめ)焼杉を外壁の板張りにつかうポイント!

その1 炭化層が深い焼杉が同じ条件の場所では、深い炭化層を持つ杉板を持つものが長持ちする(=メンテナンスコスト下がる)。ただし厚い杉板が原料になるので、値段があがります(=イニシャルコストあがる)
その2 軒を深くださないとだめ。地面からある程度離して足元が濡れないようにしないとダメ。
その3 炭化部分が浅いものをつかうときは塗装品でないと炭化層がすぐに流れる。外部にはるのであれば、炭化層浅いものは塗装はマストです。
その4 大工さんは真っ黒になるので大変です。2階に貼るときは、大工さんは地面の作業場と行ったり来たりしながらになるので施工日数が皆さんか考えるよりかかります。
その5 焼杉を抑えるのにかっこいいのは真鍮の釘ですが、スビン釘でもしいたけ現象になることがありました。釘の本数を増やす。階折れ釘は一本100円ぐらいしますので、家一軒となるとかなりの金額になります。保持力の高いビス留めがいいのでは?ただし、意匠にかかわるところなのでよく考えてください。

 

おまけ)焼杉じゃない、普通に杉板を塗装した板壁の持ちは?

ちなみに同じ時期(2011年冬)に改修工事をした1960年代に建てられたハウスメーカーさんのプレファブですが(今はうちの事務所棟です)、こちらは杉板をリボスのタヤエクステリアというドイツ製のオイルステインで2度塗りしています(この写真は2019年春撮影)。

 

写真右の建物です。庇は1mぐらい出ています。これだけでていれば、雨もあたりにくくて傷まなさそうですが・・・・。

 

それでもこれぐらいの色がはげてきています。そろそろ塗りどきです。軒が深くても塗装の防護層は焼杉よりも深くないので、定期的な塗装が必要です。焼いていない場合は、塗装の顔料や油分が撥水効果があったり、紫外線対策になりますので何かしら塗装したほうが材のもちがいいです。木の乾燥を妨げないオイルステイン系のものがいいと思います。ペンキは皮膜を作って濡れないようにしますが、ペンキが部分的にきれて水が侵入した場合、湿気が排出されずに蒸れて木が腐る原因になるのであまりお勧めしません。

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