大阪市中央区伏見町の築100年 古民家再生
大阪市内の戦災を免れた戦前の町家の改修工事を担当させていただきました。設計はウズラボ一級建築士事務所さんです。
入れ替えた新材は色をつけていません。最近の美術品の修後は、オリジナルに手を加えたところが後世にわかるようにしておくというかんがえがあるらしく、その考えに基づいています。
床が張られてしまっていた通り土間部分は、オリジナルに近い形に復旧されました。敷石も再利用品です。
部屋内より玄関を臨んでみたところ。改修後は、特殊瓶製造会社さんの化粧品部門さんのフラッグシップとなっています。
陳列棚の柱にみえるのは、リブフレームという耐震補強の部材です。
床の間の下に、防空壕があったのでガラス張りの床として下がみえるようになっています。正面に見える「ロ」の字がたのフレームもリブフレームです。
中庭より建物をみたところ。縁側の下にある井戸のようなものがもともとあった防空壕の入り口です。現在はガラスで蓋をしています。
蔵の中。シロアリや雨漏りで腐っていた柱を補強し、改めて2Fを設けました。
廊下の屋根も腐っていたので遣り替え。建具はもともとあったものを直して使っています。壁は木毛セメント板と中塗り仕上げ。
通り土間の上の火袋(吹き抜け)。ガラス工芸の作家さんの作品が明かり取りの窓の前にインスタレーションとして飾られています。
(工事が終わって)
外観。大阪市のHOPE事業の一環としての修景事業でもあった本工事は、周辺の登録有形文化財などに混じって、かつて東洋のマンチェスター、大大阪といわれた頃の風景を思い起こさせてくれます。工事中に持ち主の方から昔の周辺の様子をお聞かせいただいたり、工事終了後に小さい頃にこの家に遊びに来たことがあるという方が化粧品を買いに来られている様子をみてたりして、改めてこの家がもつ長年の歴史に触れられたのも思い出深いです。設計事務所さんの緻密な設計のもとに、この工事を経て、この家が次の100年を過ごすための基礎体力をつけたと思います。
建築地 | 大阪市中央区 | 屋根 | 日本瓦 |
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再生工事竣工年 | 2018年 | 外壁 | 漆喰、焼杉など |
内壁 | 中塗り | 床 | 既存板再利用、MDF合板 |
構造規模 | 木造軸組 2階建て 限界耐力計算にて構造を検討 | ||
その他 | 大阪市HOPEゾーン事業 荒壁パネル/リブフレーム/制震リング 設計:ウズラボ一級建築士事務所 写真:多田ユウコ |