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内窓(二重窓)を寒い古民家に。プラマードU取付(インプラスも可)!防音効果も期待。大きな内窓はDIY難しいです

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輝建設のコハラです。

今回は、古民家で内窓(二重窓)取り付けについて、古民家再生をよくやる工務店の視点から考察をリポートをしたいと思います。古民家ならではの内窓の利用方法や、各メーカーさんの内窓をご紹介したいと思います。最後に内窓をDIYしやすい窓と、そうでない窓のことを書いています。

ちなみに内窓・二重窓・インナーサッシとかいろいろ呼び方ありますが今回のブログでは内窓でお話ししていきます。

文末に内窓の効果を高める古民家の隙間対策へのリンクも貼っています。

内窓(二重窓)取付のメリット紹介の前に、まずは窓のことについて少しお勉強!

「冬寒くて、、、、」というご相談を古民家にお住まいのお客様からよくうけます。古民家にお住まいの読者のみなさんなら、きっとウンウンと首を縦に振っていらっしゃると思います。写真は当社、古民家再生モデルハウス「石切ヴィレッジ」の離れ。大正14年(1925年)竣工で、2019年現在で築94年となります。冬は、、、、、石油ストーブをガンガン焚いてなんとかいれるという感じです。波打ったガラスはとっても情緒があるのですが、冬場は外気温につられてほんのりというか、、、、冷たいです。

 

古民家でも、すでに木製建具を外してアルミサッシになっている古民家にお住まいかもしれませんが、そのアルミサッシのきっとシングルガラスで断熱サッシ枠になっていないものに違いありません。

 

この写真のように! これは昭和55年に建てられたお家を解体したときに取っておいたアルミサッシの枠。熱伝導率のいいアルミで外と室内がつながっているので外の寒さが容易に伝わってきます。ガラスはもちろん単板ガラス(シングルガラス)でした。

 

さて、このイラストですが、現在、当社の新築でよく使っているリクシルさんのサーモスXというアルミ樹脂の複合サッシのカタログのイラストです。サッシの断面をみると小部屋がたくさんあって、空気を溜め込んで断熱性能がアップしています(イラストのガラスはトリプル)。

 

古民家に付いている古いアルミサッシは残念ながら、断熱の点では性能が期待できません。外気温ほぼ連動窓です。木製建具と性能は変わりませんが、隙間が木製建具よりはすくないのは利点です。隙間風や漏気が多少ましにはなり、暖房器具で部屋を温めたときの冷たい空気の流入が少なくなっているかとは思います。

 

実際、私コハラが昭和30年代の木製建具の土壁の家から引っ越して、昭和50年後半に建てられたアルミサッシの家に住んだとき、冬場の暖房器具の効きが全然違いました。隙間がないだけでこんなに違うのかと実感しました。(壁には多分多少の断熱材が入って、正しい施工はほぼ期待できないと思います。床下は断熱材入っていません)

 

とはいえ、このグレードのアルミサッシは、現在の新築工事でしっかりとした断熱性能、気密性能を謳っている工務店で採用されるレベルのものではありません。超ローコスト住宅でも、現在では使われることはないというようなレベルの窓性能です。

 

というわけで、窓からの熱損失を防ぐために窓性能をあげる!というのが、古民家を暖かくするために一番に考えなければいけないポイントです! 暖房器具であたためた暖気が窓からの冷気で冷やされるのを防がなければいけません。もちろん、最終的には窓だけでなく壁、床、天井も断熱改修することが望ましいですが、面積あたりの熱損失量は窓が圧倒的に高いので、窓から断熱性能をあげるというのが古民家ヌクヌク計画のセオリーです!

 

寒い古民家で内窓(二重窓)採用のメリット

写真は高槻市の古民家です。2011年に工事が終了した古民家再生工事の現場です。木製建具や初期のアルミサッシといったような窓の性能をあげるためには

 

「窓を高性能なサッシに入れ替える」

または

「内窓を取り付ける」

 

が二大解決策です。こちらのいえでは「窓を高性能なサッシに入れ替える」=木製建具をペアガラスの断熱アルミサッシにいれかえました。窓を外してサッシを入れ替えるには下準備として大工工事や外壁との補修などが発生します。使い勝手がよくなってすっきりする代わりに、入れ替えコストがアップになります。

 

内窓というと、窓入れ替えのコストを下げるためにしかたなしに、、、、というイメージがあるかもしれませんが、いや、実際、コストはやすいですが、古民家で木製建具だったりする場合は高性能サッシに入れ替えよりもオススメの場合があります。

 

それは、、、、、

 

木製建具をそのまま使えるので古民家の雰囲気を壊さない! 全国の木製建具ファンのみなさんは内窓をもっと使いましょー!(というと言い過ぎかもしれませんが、、、)私の考える古民家で内窓をつかう最大のメリットはこれだと思います!

かつ、

「既存の窓と合わせてになるので、断熱性能もよくなる」

「木製建具にくらべて、気密性能がよくなります」

というのが、わたしの3つの古民家だからこその内窓推し理由です!

 

古民家に内窓(二重窓)をつけても雰囲気を壊さない裏技を紹介!

それでは、早速、その最大のメリットやらの写真。これが内窓の施工例の写真です。

「え、そんな。写っていませんやん」って声が聞こえてきそうですが、この4枚のガラス障子の後ろに4枚の内窓が取り付けられています。

 

ででーん! こんな感じです。 こちらのお宅ではYKK-APさんのプラマードUをお取り付けしました。リクシルさんのインプラスや、ウッドワンさんのMOKUサッシなどもオススメです。

もう一度、室内からの写真をどぞ!

 

内窓の存在がぜんぜん、わからないですよね!木製建具の割付と同じように、プラマードなどの内窓を割付けてやると正面にたつと目立ちにくくなります。

 

少し角度を変えたところから見ると、プラマードが見えてきます。

 

近くによるとこんな感じです。

 

縁側と和室を区切るようにならぶ8枚のガラス障子と床の間の出書院の裏側には、ペアガラスの内窓が取り付けられています。

 

書院の裏側にとりつけたプラマードU。ここは引き違いにせずにFIXガラスでもよかったかもしれません。

 

プラマードを取り付けるための枠を大工さんに付けてもらいます。プラマードに限らず、いわゆる内窓の類のものは通常の引き違いタイプのものであれば、だいたい最低8cm幅ぐらいの取付シロがあれば施工できます。

 

プラマードの上の欄間にはペアガラスを四周に枠をまわして、縁側側に取り付けました。

 

欄間ペアガラス取付前の写真。大工さんにとりつけてもらいました。

 

最初の施工例写真、実はプラマードだけでなく、欄間の裏側にペアガラスが設置されていて、シングルガラスから冷気が入り込むのを抑えてくれます。

 

写真右側のカーテンの裏には、最初期のアルミサッシとシングルガラスの窓がはいっています。今回の内窓取り付けまで含めた古民家再生リフォームでは、プラマードを取り付けたガラス障子のある和室までは床組やりかえときに足元に断熱材、天井裏に気密断熱シートをはりめぐらしていて暖かい室内という考えで断熱ラインを儲けています。

 

縁側まで温める必要があるのかと考えたときに、どこに断熱ラインを置くのかということをお施主さんと協議して縁側は寒くてもよしとしました。

 

上の写真は当社施工物件の新築工事(2017年竣工)のお客様宅ですが、木製建具は昭和9年に京都で竣工したお家を解体した時にいただいたものです。この木製建具の外側にペアガラスのアルミ樹脂複合サッシが取り付けられています。このように外部に面したところででも木製建具を活かして取り付けることがも出来ます。

 

内窓(二重窓)は防音効果もあります

内窓は断熱効果だけでなく、防音の効果も期待できます。詳しい数値ははかっていないのですが、写真は過去にさせていただいた内窓の施工の様子。場所は大阪市北区のビジネス街の鉄筋コンクリートのビルの5階です。

 

自社作成の動画用のスタジオをつくるにあたって、窓からの外からの音がうるさいので何か対応して欲しいという相談を受けました。専用スタジオであれば、本格的な防音工事が必要ですが、会議などにも使われるということで景色が見えたり採光のための窓の役割は殺したくないということでした。

 

鉄筋コンクリート造の建物だったので、窓からの音を軽減してやればある程度まで静かになるだろうと考え、断熱目的ではなく防音目的でペアガラスの内窓を取り付けさせていただきました。もともと入っている網入りシングルガラスのサッシの内側にペアガラスの内窓を施工というかたちになっています。

 

ペアガラスも異厚ペアガラスという断熱よりも防音に重きをおいたペアガラスになります。通常のペアガラスは同じ厚みのガラスを2枚つかって、中空層のある1枚のペアガラスとしています。異厚ペアガラスは2枚の厚みの違うガラスをつかったペアガラスになります。

 

異厚ペアガラスだと、通常のペアガラスでおこるコインシデンス効果といわれる共鳴透過現象がおきないので、エンジン音などの低音域の騒音では通常のペアガラスと防音効果は変わりませんが、ひとの話し声や犬の鳴き声などの中高音域の防音性能が上がると言われています。

 

防音目的であれば、通常のペアガラスではなく、異厚ペアガラスでできた防音用のペアガラスを採用されてください。

 

プラマードUのカラーバリエーションやガラスの種類。その他の内窓のご紹介「インプラス」「MOKUサッシ」

今回、取り付けたYKK-APさんの内窓「プラマードU」ですが、窓についてもカラーバリエーションがあります。

 

今回は、木目ナチュラルを選択しました。リクシルさんのインプラスも似たような色で6色展開されています。下の関連記事のページの中程にサンプルがあがっています。

 

今回はガラスは、一般的なペアガラスを採用しましたが、より高性能なものをもとめるということであれば、Low-Eガラスの断熱型がオススメです。またコストをもっと下げるということであれば、性能的にはオススメできませんが単板ガラス(シングルガラス)を選ぶことも可能です。

 

樹脂がイヤーという方は、リクシルさんのインプラス・ウッドというMDFという木の粉をまぜた樹脂で質感アップされた商品もあります。

 

もっと、質感がいいものをということであれば、ウッドワンさんのMOKUサッシというものが建具のフレームが木製のものがあります。ただしこちらのシリーズも既存の木枠に取り付けるレールは樹脂となっています。

 

写真は築50年ほどの当社事務所プレハブに取り付けたMOKUサッシです。外側はシングルガラスの木製建具です。

 

なんで内窓(2重窓)はガラスと樹脂なの?

YKK-APさんのプラマード、リクシルのインプラスともにフレームが樹脂製です。なぜ、フレームがアルミでなく、樹脂なのかといいますと、外気温の伝えにくい樹脂枠にすることで、外気の寒さを家に伝えにくくなるというメリットが樹脂枠にはあるからです。

 

樹脂サッシ協会さんのウェブサイトには

 

樹脂の熱伝導率はアルミの約1000分の1。樹脂の熱伝導率は、熱を伝えやすいアルミに比べて約1000分の1です。外気温の影響を抑えるので結露が生じにくく、カビ・ダニの発生を防ぐというメリットがあります

 

とかかれています。「約1000分の1っていわれてもなー、よくわからんわ」というあなた! 実は日常の生活でも樹脂の熱伝導率の低さに助けられていることが多いんですよ!

 

例えば、写真のようなアルミ鍋。どちらのおうちにも一つ二つあるかと思います。このアルミ鍋を火にかけても持つことができるのは、樹脂の持ち手が熱さを伝えにくくなるように遮っているからです。アルミの持ち手だったら、こんなことできませんよね!

 

樹脂サッシ協会さんのサイトはいろいろとわかりやすく内窓のことなども説明してくださっているのでお時間あればご覧になってください。

 

木製内窓だと、さらに熱伝導率が低い

樹脂はアルミの1000分の1の熱伝導率でしたが、実はもっと熱伝導率が低いのが木です。なんとアルミの1200分の1の熱伝導率!(木製サッシ工業会さんのwebサイトより)。 冬場の古民家で窓のシングルガラスはよく結露するけど、木部の枠が結露していることをみることはあまりないのではないと思います。多くの場合はガラスの結露水が垂れて濡れているパターンだと思います。

 

当社事務所は昭和30年代に建てられたパナホームさんのファーストモデルです。最初期のプレハブ住宅はアルミサッシですらなくシングルガラスの木製建具でした。ここをリノベーションしたときにMOKUサッシをとりつけたのですが、取り付けた窓部分からの冷え込みはぐっと軽減しました。木製なので雰囲気もよくて、打ち合わせに来られたお客さんからの評判も上々です!

いいことずくめの木製内窓のような気がしますが、お値段がやっぱり樹脂より高くなってしまうのがネックです。

 

古民家で内窓(二重窓)つけるぞ! いろいろあるけど、まとめ

  1. 内窓は熱伝導の低い樹脂製のフレーム
  2. 入れるガラスはシングルだともったいない。最低でペアガラス。予算があえば、Low-eガラス。
  3. 予算が許せば、木製窓のMOKUサッシもある。
  4. 田の字の和室側から見える既存の木製建具を残しながら取り付ける方法を考える。
  5. 外部に面した既存の木製建具の場合、外からの意匠を大事にしたいのであれば内部に内窓。
  6. 内側からの意匠を大事にしたいのであれば、外部に高性能サッシを取り付ける方法がある。
  7. 防音目的なら異厚ペアガラスを採用する

 

内窓DIYリフォームについて。掃きだし窓や4連引き違いになるとDIYだとちょっときびしい

内窓の興味がある方であれば、ネットで「内窓+DIY」で検索されているかと思います。

 

腰窓といわれるような中ぐらいまでの大きさの窓でなければ、ホームセンターで販売されているツインカーボと言われる中空ポリカボーネードと、それをはめ込む樹脂枠だけで簡単に作れます。しかし、掃きだし窓の大きさになるとポリカボーネードの高さが足りなかったりします(だいたい、ポリカボーネードは長さ1820mm×幅910mmで販売されていることが多い)。また古民家にありがちな2間(4m)や1間半(3m)のようなガラス障子の幅になると、長さ1820mm×幅910mmのポリカボーネードだと1枚あたりの大きさが微妙に足りません。またその状況で3枚や4枚を開け閉めできるものを自作となると、樹脂枠をカットして簡単に作るのでは難しく、木を削って溝をつくったりなどが必要になってきますので本腰据えてDIYできる方でないと難しいかもしれません。

 

一冬開け閉めできなくてもいい! というかたであれば中空ポリカボーネードを上の施工例の欄間のように四周を雑巾ズリと言われる細い木材で仮釘や細ビスなどで止めてしまえば簡単な内窓が取り付けられます。

 

またこの辺は時間があるときにレポートしたいと思います(自作掃きだしポリカ内窓を簡単に作ろうとして断念したことがあります)。

 

製作は難しいかもしれませんが、腕に覚えがあればネットや近所のサッシ屋さんや建材屋さんからメーカー製の内窓を手に入れて、メーカー製内窓を自分で窓に取り付けるということもできます。先に説明したウッドワンさんのMOKUサッシは職人さんに頼らず、自分で取り付けを行いました。

 

 

寒い冬がもうすぐやってきますが、古民家でもちょっとした改装でいまはよりは暖かく暮らせるようになりますので、ぜひ、みなさんも内窓リフォームをご検討ください。

 

内窓リフォームにあわせて行いたい「古民家の隙間対策」もまとめていますのでこちらも合わせてお読みください。

古民家の冬の寒さの隙間対策。寒い部屋なら天井の隙間をテープなどで埋める!

 

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