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新築のシロアリ被害を薬剤処理なしで予防する対策についてまとめてみました

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輝建設の小原です。新築工事で薬剤注入以外でやっておいたほうがいいシロアリ対策についてお伝えします。新築工事でシロアリが取り付きにくいようにする工事のポイントと、万が一の場合のための処理などについてお話ししたいと思います。

日本の住宅の蟻害といえば、ほとんどが「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」によるものです。最近はアメリカカンザイシロアリなどのはなしも聞きますが、ここでは、「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」を対象にお話していきます。

 

シロアリ対策1)木を土に近づけないベタ基礎の種類を知る

シロアリは木に含まれるセルロースを分解できます。他の昆虫や動物と食べ物がバッティングしない生存戦略の生き物なんです。普段はヤマトシロアリ、イエシロアリは地中で生活していますが、地中にない木を食べるために地上に出てこなければいけません。ですが、黒アリのように地面をはったりできません。

 

地中のような湿気のある場所でないと、乾燥して死んでしまうので外気に触れる場所で活動するために砂つぶを唾液で固めた蟻道というトンネル状のものをつくって移動します。

 

最近の新築はほぼ、上の写真のようなベタ基礎といわれるコンクリート底盤が床下全面にあります。ベタ基礎の底盤と立ち上がりを度にコンクリート打設すればシロアリが木部に取り付くのにかなり頑張って、蟻道を垂直方向に立ち上げないといけない状況になります。これって、シロアリにとってはまあまあやっかいなんです。湿気のないところに蟻道つくらないといけないですから。

 

上の写真もコンクリート底盤ありますが、基礎の底盤と立ち上がりを一緒に打設していません。赤い丸の中につなぎ目が見えています。工事管理の容易さから底盤を先行打設してから、立ち上がりを打設する二段階工事とすることが多いです。必ず、そのつなぎ目に隙間ができるわけではありませんが、万が一隙間ができたときに、比較的地面から近いためシロアリの侵入する可能性を高めてしまいます。

 

もちろん、リスクが高くなるだけで、シロアリがそこから必ず入るというわけではないということはご理解ください。

 

一体打設したベタ基礎でも、シロアリも生きていくのに必死でしょうから、なんとか蟻道を作ってあがっていくこともあるかもしれませんが、どちらの方がシロアリの餌場になるリスクが低いかといえば、コンクリート一体打設のベタ基礎のほうがひくいと言われています。

 

写真は、布基礎とよばれるもので、昭和の頃に多かった基礎です。写真は昭和の終わりぐらいに建てられたハウスメーカーさんの家をリノベ工事で屋内を解体したときのものです。ベタ基礎のような底盤がないんで、立ち上がり部分以外は地面になっていて土がむき出しです。シロアリたちにとって日陰で、換気もあまりできてなくて湿気が溜まっていたら、、、、、活動しやすい場所になりますよね! 全面土なんで、どこからでも上がって行きやすいでしょうし! ベタ基礎のように定番があれば、シロアリも上がって来にくいでしょうし、万が一のときも侵入経路が特定しやすいです。

 

 

新築の基礎の話にもどります。コンクリート一体打ちに以外にも、給排水管など基礎コンクリートを貫通する箇所を基礎底盤に設けず、基礎立ち上がりに設ければ、シロアリの生息する地中から基礎内へ侵入しやすいポイントを減じる訳ですから、侵入リスクが軽減されます。万が一の場合の目視にて確認しやすいです。目視にて確認しやすい、これ大事です。

 

玄関などに木製枠を付ける場合、地面に近いコンクリート土間に埋めないように気をつけるといったように、シロアリの主な活動場所である地中や地面から木部をできるだけ遠ざけることを意識しましょう。

 

シロアリ対策2)床下の害虫対策は乾燥

床下の乾燥を促すのは、湿気のすくない環境にして木部が傷まないようにするためです。またシロアリにとっても乾燥している環境はあんまりいたくない場所になります。その床下の換気口ですが、みなさんのイメージは上のようなティッシュペーパーの箱ぐらいの大きさの格子のついた穴でしょうか。でも、最近の新築ではほとんど使われていません。(なんで、使われないのかは、またそのうちに)

 

最近の新築住宅の上棟直後の写真です。一見すると換気口が無いようにみえますが、土台の下に土台パッキンと呼ばれているものを並べています。外部に面した基礎上の土台だけでなく、外壁面していない土台にもこのパッキンをいれるので、基礎内通気が偏らず、床下全面で乾燥が促され、湿気の少ない環境となります。シロアリにとっても活動しにくい場所をつくるということですね。

 

ちなみに土台パッキンってこんな商品です。コボットさんのダイカラット・靭(いつもお世話になっています)! ほかにもいろいろありますから、気になる方はネットで検索してみてください。

ただし、これは床で断熱するときの話です。

 

最近は、基礎断熱という基礎コンクリートの外側または内側に断熱材を貼って、床下も温熱環境的には室内空間として捉えるという考え方があります。その場合は、床に通風口設けることで、床下の湿気が排出できるようにしています。写真中の窓の前の床にがらりが仕込まれていますが、これが基礎断熱の通風口となります。

 

床下エアコン、OMソーラー、軸流ファンなどで床下の空気を強制的に動かしてやるとさらに換気が促されます。上の写真のお宅は2階リビングの薪ストーブで暖められた空気が2階天井に集まるので、その空気を床下に軸流ファンで送り込むという方法で暖房と床下換気を一度の行っています。

 

写真は基礎断熱の家の玄関周りの下地です。基礎の天端と土台の間にビニールシートのようなものが見えるかと思いますが、これで気密をとりつつコンクリートからの湿気が土台を傷めないようになっています。

日本住環境さんの天端リスト。こちらが基礎断熱には欠かせないものです!(いつもお世話になっています)。

少し話はそれますが、基礎断熱の場合は土台や大引などのホウ酸以外で薬剤処理することはできません。なぜなら床下の空気が室内にはいってくるためです。ホウ酸は揮発性がなく、また体内に入ったホウ酸塩は排出されるので人体への安全性のたかいシロアリ対策の薬品です。

 

 

 

シロアリ対策3)目視点検できるベタ基礎

新築のシロアリ対策として、基本的なシロアリ対策です。しかし、シロアリもまた生きていくために地中以外の乾燥した場所に餌場を求めることも多々有ります。例えば、蟻道といわれるトンネル構造を土の粒を固めたバイパスのようなものを基礎や木部の上につくることはシロアリの活動では日常的なことです。

 

上記でのべたシロアリ対策を乗り越えて、シロアリが家の木部にたどり着くことが絶対ないとは言えません。目視またはリモコンカメラのような機械による点検ができるようなベタ基礎になっていなければなりません。では、点検できるベタ基礎って????

 

上の写真はこのページの一番最初の写真です。これが目視点検できるペタ基礎です。「えっ、いったいどこが??」と思われるかもしれませんが、このベタ基礎の形状が非常に大事です。

このベタ基礎、床板が貼られてもぐるぐると全て場所に床下からアクセスできます。点検のことを考えずにベタ基礎をつくってしまったら(もちろん、構造的に問題はないとしても)、点検できなくて床板をめくらないと点検、対処できないということになります。

 

これは床断熱、基礎断熱問わずぐるぐる回れるベタ基礎は何十年もそこの家に住むということにとって超重要なポイントです!

 

昭和30年代までは、年末の大掃除のときに藁床の畳を干すとき、床板をめくって床下の構造をみるというシロアリが来ていないか確認できる機会がありました。新築なら、すべての床下のエリアが見られるように基礎をつくる、床下に簡単に潜れるような点検口を設けておくことをお勧めしています。発見が早ければ、いろいろ手を打つことができます(輝建設では定期点検してくださる提携のシロアリ駆除業者さんをご紹介できます)。

 

シロアリ対策4)まだまだ他にもできることがある

ここまでした上でも、いろいろな方策のご提案できます。

 

例えば、ホウ酸による木部の処理。当社をはじめお付き合いの深い工務店さんは結構い、新築の場合、土台から1F床から1mまでは、ホウ酸処理をしています。ホウ酸処理した木部を食べたシロアリはホウ酸塩を分解できないので死に至ります。また、働きアリがホウ酸を含んだ木を巣に持ち帰るので巣内のシロアリにも効果があります。

 

ホウ酸は水に濡れて溶解しない限り、半永久的に効果が持続します。また揮発しないので室内空間を汚すこともありません。ホウ酸処理した工事についてはメーカー保証をうけることができます(ただし、新築のみ)。

いままではあまり日本では施行されていなかったのですが、日本ボレイトさんのボロンdeガード工法(いつもお世話になっています)など、最近は施工業者さんが何社さんかあります。

 

基礎の給排水管の隙間をホウ酸入りシーリング材で埋めるのも有効です。そのほか基礎断熱や床断熱の断熱材をホウ酸入りのものにすることでシロアリの侵入や食害を容易に広がらせないようにすることもできます。ほかにも、シロアリよりも小さな網目の金網を敷くことでシロアリの侵入を防ぐ方法などもあります。

 

 

地味なことでは、家の基礎に植木鉢やなどをならべているお家を見かけますが、毎日の水やりが家に湿気を寄せていることになります。またダンボールなどを持たれかけさせてたりするのも、ダンボールなどが雨に濡れたりすると家に湿気を呼び、シロアリにとっては活動しやすい場所となります。ささいな日常の行動が家にシロアリを呼ぶこともあるということも知っておけば、シロアリリスクを下げることもできます。

 

このように薬剤処理以外にもいろいろとシロアリ対策があります。薬剤処理含めて、全てのシロアリ対策が完璧というものではありません。それらを組み合わせることでシロアリに食べられるリスクをどんどん軽減させていくという考え方をもって、新築づくりをご検討されるのが良いかと思います。

 

以上、輝建設の小原でした。

 

 

今日のpoint

「完璧なシロアリ対策はない=いろんなものの組み合わせでシロアリ被害に遭う可能性をどんどん下げる」

 

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