JOURNAL日誌と記録

工務店の繁忙期、徹底解説。急な仕事には対応できないといわれないために。春から夏が狙い目!

    Category : 

    • 日誌と記録/
    • コラム/

    Date : Oct 8th Wed, 2025

    今回は、「工務店の繁忙期」というテーマで、現場のリアルな状況やその背景についてお話しします。工務店で仕事をして四半世紀。家の困りごとがあって勇気を振り絞って、工務店に連絡したのに「その時期は工事ができません」といわれてしまわないか心配という方向けのブログです。

    工事依頼が集中する時期や、断られないように依頼の相談をするためにはどうしたらいいのかなど、普段はお付き合いがない工務店さんとのお付き合いの仕方をお伝えできればと思います。

    特に最近は、出入りしていた工務店や職人さんが廃業したりなどで、ご自宅の軽微な工事をご相談先を探していらっしゃる方からのご相談を受けることが多いです。

    特に「年末までにここだけ直せませんか?」「春までに何とか……」といった、時期を限定した問い合わせがとても増えています。ですが、限られた職人と時間の中で、すべてのご希望にお応えするのが難しい状況も……。

    この記事では、そうした背景にある工務店の繁忙期の実態と、理想の工事を実現するために知っておいてほしいことを、わかりやすくまとめています。

    「そろそろリフォームを考えたい」「今のうちに工務店に相談しておくべき?」と思っている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。


    繁忙期の背景と実情

    工務店の繁忙期は年に2回やってくる

    「最近、年末までにできますか?」というお問い合わせが一気に増えてきました。これは私たち工務店が秋を迎えると、毎年のように感じることです。

    工務店には、年に2度大きな繁忙期があります。それは、12月に向けた“年末ラッシュ”と、3月末に向けた“年度末ラッシュ”です。

    年末までにというご依頼には、やはり「お正月を新しい住まいで迎えたい」という想いが根底にあります。ご家族が集まる年末年始を、少しでも気持ちよく過ごしていただきたいという気持ちは、工務店側としてもとてもよく分かります。だからこそ、この時期に向けた工事の依頼はとても多く、限られた日数の中でのスケジューリングが重要になってきます。

    もう一つの繁忙期は、3月末に向けた工事です。これは、お子さんの進学や就職、ご家族の引っ越しなど、新年度に向けた暮らしの切り替えに合わせた改修や新築のご要望が集中します。さらにこの時期は、住宅関連の補助金や助成金制度の締切も重なるため、「3月までに完了しなければ申請できない」という条件も、お客様の背中を押す要因となっています。

    この2つの時期に共通しているのは、「明確な締切がある」ことです。通常のご依頼であれば、多少余裕を持って工程を組めますが、年末・年度末は一日一日の積み重ねがそのまま「引き渡し期限」になるため、調整の自由度がほとんどありません。

    「小さな工事だから、どこかでなんとかしてもらえるんじゃないかな?」という風にお考えになっていらっしゃるのかもしれません。ご相談された工務店は、電話先で“いまから、年末に(年度末に)スケジュールに組み込む余地があるかどうか”を算段しています。

    この電話を受けている時期が半年先とかであれば、まだ余裕がありますが、工事内容によっては3ヶ月先ぐらいだとちょっと雲行きが怪しいかもしれません。「早めの相談」が本当に大切なんです。


    年末に向けた「駆け込み依頼」が多発する理由

    「できれば年内に……」。このフレーズは、10月頃から急激に増え始める、お客様からのご相談で最もよく聞くもののひとつです。「お正月に家族が集まるので、それまでにリビングだけでもきれいにしたい」など、部分的な改修のご要望が目立ってきます。

    しかし、たとえ小規模であっても、事前の調査・設計・資材手配・工程調整といった準備は必須です。「規模が小さいからすぐできる」と思われがちですが、実際にはそれなりの段取りと時間が必要なのです。

    また、年末の各種職人さんのスケジュールはすでにパンパン。急な依頼を入れ込むのは現実的に難しい場合がほとんどです。一日に複数現場を掛け持ちしているケースも多く、調整がきかない状況も……。

    とはいえ、「無理かも」と諦めるのはまだ早いかもしれません。工事の延期や天候による変更で“空き”が生まれることもあります。工務店の仕事の差配の傾向として、事前にご相談をいただいている方を優先してご案内できる場合もあるため、「とにかく早く声をかけておく」ことがとても大切なのです。


    年度末に集中する補助金・入居タイミングの影響

    年末の忙しさが落ち着いたと思ったら、今度は1月中旬〜3月末の年度末繁忙期がやってきます。「3月中に工事を終えたい」とこの時期の工事に向けて、職人さんの取り合いが起きています。

    3月末にぐらいちょっとした工事をとおもって、年明けに工務店に連絡をしても「すみません、もう仕事がいっぱいで・・・」という感じになってしまいます、

    理由は明確。入学・転勤・在宅ワーク開始など、家族の変化に伴って住まいを整えたいと、新生活のタイミングに合わせて工事を済ませておきたいというお客様が多いためです。そのため、新築やフルリノベなどの大きな工事の仕上げがもっとも重なる時期になります。

    また、最近では住まい関係の補助金を利用されている方も多数いらっしゃいます。断熱・省エネ・バリアフリーなど、年度単位で運用されている制度は多く、2月末〜3月末に申請期限が集中しています。特に重要なのは、「申請には工事の完了が必要」なこと。つまり、申請だけではなく、写真・書類・完了報告も期限内に済ませる必要があります。

    工務店や職人さんたちは、年度末は従前から依頼を受けているてんやわんやの騒ぎになることを想定しています。

    なので、年度末前に新たな工事の依頼や相談があっても、年度内に人手を割くのは難しいと言われがちです。

    「じゃあ、いつから動き出すのがベスト?」というと、工事の種類や量にもよりますがどんなに遅くとも秋からが理想です。年明けのご相談では、もうスケジュールが埋まってしまっているケースも多く、補助金も間に合わなくなってしまう可能性があります。


    応援体制の限界と今の工務店の内情

    ひと昔前なら、工務店も協力業者の職人さんに頼んで、横のつながりで「他の業者さんに応援頼んで人を回してもらう」ということもよくありました。しかし、今ではどこの工務店も自社の協力業者である職人しか回ってもらえないという状況です。

    よく言われている通り、職人さんたちの数が年々減ってきており、特に経験のあるベテラン職人は引く手あまた。今では“明日来て!”なんて絶対に無理というのが現実です。

    工務店も、信頼できる職人さんと組んだチームで、ひとつひとつの現場を大切にしています。そのため、急な依頼にはどうしても限界があるというのが正直なところです。


    年末・年度末の工事を依頼するなら今すぐに

    と、年末や年度末の工事の依頼が不安になるようなことを書いていますが、「間に合わないかもしれないし…」と躊躇するよりも、まずはご相談を。というのも、現場のスケジュールは常に動いており、急な空きが出ることもあるからです。

    内容によっては、施工を分割したり、来年スタートでも仮押さえが可能なケースもあります。“早く声をかけてくれた方が選択肢が広がる”のは間違いありません。

    複数の種類の職人さんが入る、住まいの部分改修なども、設計や下準備に思った以上の時間がかかるため、「今からでも間に合うかな?」と悩んでいる方は、ぜひすぐにご相談ください。

    また、「春に向けて」であっても、年明けのスタートでは間に合わない可能性も。1〜3月は繁忙期真っ只中なので、秋までにはご相談しておくのが理想です。


    まとめ

    本記事では、工務店業界における「繁忙期」の実態と、その背景にあるお客様のニーズや制度的な要因、さらには職人不足による影響について詳しくご紹介しました。改めてポイントを振り返ってみましょう。

    • 繁忙期は年に2回:年末(12月)と年度末(3月)が工務店の繁忙期。前者は「年越しを快適に迎えたい」、後者は「新年度の生活スタート」や補助金申請が主な理由です。
    • “ちょっとだけ”の工事も、段取りが命:工事の大小に関わらず、設計・資材手配・職人手配など必要な準備は変わりません。部分改修でも“すぐにはできない”ことが多々あります。
    • 補助金申請には事前準備が必須:年度単位で締切が決まっている補助金制度を活用したい場合、書類や工事完了までの工程を逆算して動く必要があります。
    • 職人不足の深刻化:経験豊富な職人ほど引く手あまたで、今ではどの工務店も“応援体制”を組むのが難しくなっています。そのため、スケジュールに余裕をもって依頼することが重要です。

    読者への行動提案とこれからの考え方

    今年中や来春までに何かしらの工事を検討されている方は、「今すぐに相談を始める」ことを強くおすすめします。というのも、現場のスケジュールは固定されたものではなく、刻一刻と変動しています。早めに連絡をいただければ、まだ調整できる余地があるかもしれません。

    特に、

    • 住宅の部分改修で複数の種類の職人が関わる工事

    といった工事は、工務店さん多く携わっている得意分野です。

    「まだ具体的じゃないけど……」「ちょっと相談だけでもいい?」という段階でも構いません。まずは、気になる工務手さんにお気軽にお問い合わせされることをお勧めします。

    もちろん、私たちもあなたの大切な住まいが、心地よく、安心できる場所であり続けるためにその一歩を一緒に歩むお手伝いをさせていただきます。

    LATEST最新記事

    • 日誌と記録/
    • コラム/

    Oct 10th, 2025

    READ

    SGL鋼板。ガルバリウム鋼板より高耐久。メリット、デメリットも解説。

      Read more
      • 日誌と記録/
      • コラム/

      Oct 8th, 2025

      READ

      工務店の繁忙期、徹底解説。急な仕事には対応できないといわれないために。春から夏が狙い目!

        Read more
        • 日誌と記録/
        • コラム/

        Oct 7th, 2025

        READ

        古民家リノベやリフォームで「いい感じ」を残すコツ|「真壁」と「大壁」の違いを知っていますか?

          Read more

          NOT FOUND.

          現在関連事例は登録されていません。

          その他の事例をお探しください。

          CONTACT IMG
          CONTACTお問い合わせ