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古民家再生3つのヒント

大阪や奈良での古民家再生、3つのヒント。輝建設のこだわり

数世代にわたる家族を守り続けてきた民家には、重ねた年月の分だけ、たくさんの思い出がつまっています。「古くなってしまったけれど、家族の思い出がたくさんつまった家に住み続けたい。」家族の大切な思い出をそのままに、現代の生活に不自由のない、快適な住まいへの再生への3つのヒントをお伝えします。

 

1 古民家の傷んだ柱と梁、大引など補強する。傾きも是正する

事前調査や、解体などを経て昔ながらの構造を無視した改修がなされていたことが判明した場合、基本的にもとの構造へ戻しつつ、改修を行うよう心がけています。その際、だいたい上の写真ぐらいまではスケルトンにしないと根本的な処置はできません。

大規模な改修工事の前には、床下に潜ったり、小屋裏にあがってシロアリの被害や雨漏りなどで構造が傷んでいるかどうかを調べて見積もりに反映させます。

足元が長年の間の補修で、部分部分の補修で床が地面に落ちないようになっているだけで家ができたときのような仕口になっていないものがほとんどの古民家で見られます(写真は南河内にて江戸時代に建てられた古民家)。シロアリや腐れなどで床組みの遣り替えが発生した時に、根本的な処置をせずに床をもどした工事を非常に多くの民家の床下でみます。大引が柱にさせないので柱の手前で受けてやっています。通常の状況では床は落ちませんが、地震でゆれたときに足元が固められていないので、柱の足元が自由に動いてしまいます。

 

 

こちらは南河内から兵庫県氷上郡に移築した古民家。大引が柱に挿さっているのがよくわかります。柱の足元が自由に動かないようにすることを脚固めといいます。

 

 

 

 

 

現地再生などで柱などを大きくうごかせず、大引を大きく差し込むことができない場合は、羽子板ボルトなどで抜けないように緊結してやります。

 

ある程度スケルトンにした上で、上記のような脚固めの準備などをしながら、ジャッキやチェーンブロックなどを使いながら、柱や梁など傾いているものは全体のバランスをみながら、極力まっすぐになるように器具を使いながら工事を進めていきます。あっちを引っ張ったらこっちが余計傾いた、こっちをあげるとこっちが上がりすぎるといったようななかで一番収まりのいいところで固めます(大阪市内の町屋再生の現場)。

 

必要であれば家をコンピュータ制御のジャッキなどをつかって持ち上げて基礎工事なども行います。こちらの古民家は周辺の家が長年の間にどんどん地面をかさ上げして、周辺からの水や湿気などが建物近辺に流れてくる対策としてお施主さんから相談をうけて、提案したものです。

 

こちらの河内長野の古民家再生では家を1m近く持ち上げて基礎をつくってジャッキダウンしました。

 

2 寒くないからより愛着が生まれる。寒い古民家を快適にするヒント

予算との兼ね合いですが、新築工事で培った断熱、気密工事を知識や技法を用いてご提案させていただきます。

みなさん、すぐに土壁の全面断熱工事とおっしゃいますが、予算面から考えるとなかなかハードルの高い工事です。土壁の面積が多いのです。できることすべてをさせていただけるとよいのですが、なかなかそういうわけにもいきません。その中で再生工事をして比較的暖かくなったと感じていただくためにできるための優先順位をあげておきます。

まず窓。ガラス一枚で外気温連動の面になってしまいます。窓の断熱気密性能をあげるために上の写真のように樹脂サッシュやアルミサッシュに変更。外側のサッシュを既存木製建具の敷鴨居よりひとまわり大きくつけて、サッシュ建具を室内にあまりみせない隠し框という方法をとればより室内よりサッシュが見えにくくなります。

ですが、なかなか愛着のある木製建具は捨てがたし、、、という場合は次のような方法があります。

外観の雰囲気を壊したくなければ、既存木製建具の内側にペアガラスのインナーサッシュを取り付けるという方法があります。この写真の階段上りきったところの腰窓は外側に昭和ヒト桁の木製建具(藤井厚二デザイン!)に内側にアルプラ複合サッシュをつけています。外から見ると木製建具しか見えません。ちょうどこの窓は道から見える家の正面にあるのでこのような組み合わせになりました。

下の写真はこの階段を2階からみたところ。階段の踊り場にある木製建具の向こう側にはアルプラ複合サッシュが取り付けられています。この建具をもらい受けたお施主さんが、戦前の藤井厚二デザインの木製建具を隠したくないということでこのようなちょっと複雑な工事をしています。こちらの窓の向こう側はお隣の家がたっているだけなので内側の見え方が優先されています。

 

次は建具屋さんで木製建具を新しくつくる。その際に枠なども合わせて調整すればいくらか隙間風を減らすことができるかもしれませんが、この場合気密の大幅アップは望めません。もちろんシングルガラスでなくペアガラスにされたほうが冷気が家にはいりにくくなります。

ペアガラスにすると建具はおもたくなりますが、いまの建具のコマは性能がよくなっているので動かすのにそんなに苦労しないと思います。年配の方の場合、ハンドルなどをつければかなり動かしやすくなります。

気密性の高い木製建具、木製サッシュ(アイランドプロファイルやキマドなど)という方法もありますが1間幅の木製サッシュでだいたい50万円〜(送料・取付別途)といった感じです。この予算があればその他の部分の断熱化に回せるのでこちらの方法を採用された方はいまだ当社のお客さんではいらっしゃいません。

写真は当社で工事させていただいた交野市の古民家再生。窓際の障子があれば、太鼓貼りという障子紙を表裏各一枚ずつはってペアガラスのように空気層をつくった建具もある程度の冷気を伝えにくくすることにつながります(さらにこちらのお宅では、木製建具をペアガラスのサッシュに変更しています)

その次は隙間をとにかくなくす、気密化です! 写真は高槻の古民家再生の現場です。竿縁天井の上に断熱材を施工した後に、防湿気密のためにシートをはって天井裏の隙間をなくしています。これで暖房をしたときに発生する上昇気流が逃げないようにします。気球ってあんなに大きなものが温めた空気だけでもちあがることを想像すれば、たかが暖房と思うなかれ、すきまがあればどんどん逃げていきます。

そのの次に土壁と柱の隙間や畳の下の板の隙間を塞ぎます。土壁を塗り直すのなら左官屋さんに任せてもいいのですが、そうでない場合は気密テープや発泡ウレタン、コーキングなどでとにかく塞ぎます。

で、次が忘れがちですが、超重要です。床の隙間を埋めます。発泡ウレタン、コーキング、気密テープなどなんでもいいのでとにかく隙間を埋めなければいけません。これは天井の隙間埋めとセットの作業です。暖房で上昇気流が発生して天井裏に隙間から抜けて行くときに、どこから新しい空気は供給されているのかというと、床や壁(窓も!)の隙間からです。床周りの隙間は畳や床板ができあがってしまうとあとから隙間を埋めていくことが難しいので必ずチェックが必要です。

 

ここまでするんですか?という声が聞こえてきそうですが、ここまでしても新築のような高気密化は非常にむずかしいのが古民家再生の気密工事です。隙間が全然ない家って息苦しくないですかという声が聞こえてきそうですが、少しでも寒くない家にするために必ず必要なことです(換気扇での換気計画もしっかりしなければいけなくなります)。

 

ここでお伝えしたいのは、寒くない家になることで今よく言われているヒートショックになるリスクを軽減させることができますし、寝てる合間にも寝室の冷たい空気を体内に取り込むことで体が冷えるのを防ぐことにもなります。風邪もひきにくくなることでしょう。燃料費だけでなく、医療費削減につながればいいことづくめではないでしょうか。

 

ちなみに、工事中の写真にあがっていた高槻のお施主さんは「いままで外気温と室温がいっしょだったので寒くてたまらなかったのだけど、快適になりました」というお声もいただきました。交野の古民家のお客様からは「エアコンの効きが工事前より、ずいぶんよくなった」とのご感想でした。ただ、高槻のお施主さんのお父さんから「なんか静かになりすぎて、マンションの中にいるみたいで前の方がよかったかな」というご意見もありました。

 

ようやく、ここまでしてから壁、天井断熱材について予算がゆるせばしておきたいといったところでしょうか。古民家再生の場合、柱や大引きなど床板より下のレベルの交換や補強などが欠かせないので当社ではほぼほぼ床周りの工事をするときは断熱材を入れるための予算を確保するようにお願いしています(優先順位が高い)

 

古民家再生の場合、断熱にこだわると土壁の断熱に眼が行きがちですが、しておきたい順番は、窓のガラスのペアガラス化>窓枠の気密>屋根や天井面の気密>壁や窓床の断熱気密などです。

 

 

3 古民家は昔の建材も使う。外観はベンガラや漆喰、内部も左官で土壁で仕上げたい

昔ながらの家にしっくり馴染む素材選びと輝建設の古民家再生の基本は、昔ながらの建材を使うこと。民家が持つ独特の雰囲気や心地よさを損なわない素材選びを心がけています。特に肌にふれる部分は自然素材にこだわりたいと考えています。石油由来や化学製品には頼らず、地球環境や、居住者の健康に十分に配慮した建材を使用します。古材や、解体した材は出来るだけ再利用します。

 

キッチンや水廻りなど現代の暮らしに必要なものでも、古民家の雰囲気を壊さないようなものを選んでご提案します。

 

 

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